司法書士フィオルーナ法務事務所

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相続法の改正点がすぐに分かる 福岡市司法書士フィオルーナ法務事務所

相続法の改正のご紹介

約40年ぶりに相続法が改正され、平成31年1月から順次改正された項目が適用されています。

1月適用の改正点は、自筆証書遺言の書き方のマイナーチェンジです。従来、全文を自筆で書かなければならないとされていいましたが、遺産目録部分に限ってはパソコン等で作成して良いとされました(ただし、そのページに署名・捺印が必要)。

そして、平成31年7月1日より、今回の改正点の主要部分の適用が開始されました。

相続法改正点TOP

配偶者(妻又は夫)に係る改正について

この改正点の特徴は、残された配偶者が安心して今住んでいる家に住み続けられるようにすることを目的としています。次の事例をご覧ください。

相続法改正点1

法定相続割合に従うと、遺産の1/2(1,000万円)は妻に、残りの1/2を子供2人で均等(各500万円)に分け合うことになります。

改正では、妻が家を相続するには500万円足らないので、この500万円を現金で子供に渡すことになります。渡すお金が無ければ、法定相続割合通りに分配するために家を売却し現金にして分けることになります。この場合、妻は1,000万円のお金を手に入れますが、住む家は失うことになります。
親子関係が良好であれば、いずれ家は子供たちが相続するので、多くは母親が家を相続することに合意するでしょうが、疎遠であったり、子供のそのときの経済状態によっては強く法定割合による相続を主張されることもあります。そのときは売却ということになってしまいます。

改正はどうなるか?

相続法改正点2

夫が妻に家を生前贈与又は遺贈することで、妻に家を残すことができるようになりました。

最大の利点は、生前贈与(遺贈)しても遺産に組み入れられないということです。故人が相続人に通常の生活費用以上の贈与をしていた場合、特別受益(=特定の相続人が特別に利益を受けた)と言い、他の相続人と公平にするため受けた利益を遺産に組み入れることが民法で規定されています(=持ち戻し)。家の生前贈与は特別受益にあたるので、旧法では遺産の総額に組み入れられましたが、改正後は贈与・遺贈すれば組み入れなくてよいことになりました。

上記の場合、遺産総額は現金・預貯金の500万円だけとなり、妻は家を贈与で取得し、500万円の1/2の250万円を相続するとこになり当面の生活費も確保できるようになります。

相続法改正点3

生前贈与と言ったら贈与税は?と心配される方も多いと思います。もちろん贈与税はかかりますが、こちらも優遇措置があります。

最大2,110万円(居住用財産贈与における配偶者控除と基礎控除)までは非課税です。家に対して相続税もかかりません。

ただし、この生前贈与・遺贈における改正の恩恵を受けるには条件がありますのでご注意下さい!

婚姻期間が20年以上の夫婦(内縁関係は不可)である。
贈与財産が自分が住むための国内の居住用不動産である、または居住用不動産を取得するための金銭である。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された居住用不動産または、贈与れた金銭で取得した不動産に受贈者が住んでおり、その後も引き続き住む予定であること。

なぜ、このような改正が行われたのか??

今回ご紹介した事例では、遺言書がなくても家族間で協議して(遺産分割協議)、母親である故人の妻が老後も今ある家に住み続けられうようにすれば良いだけの話です。
しかし、現実は親子間、子がいない場合は妻と義父母間又は義兄弟姉妹間で話し合いがまとまらず、結局、家を売却して金銭による分配がなされるケースが少なくないからです。
自分が生きている間に家を妻に贈与する(名義を妻に変更する)ことに抵抗感を抱く方もいらっしゃると思いますので、そういう方は遺贈(自分が死んだら家を妻に贈与する)を選択することも可能です。
家族関係に懸念がある方は、残された配偶者が安心して今の家に住み続けることができるよう、この制度の活用を一度ご検討してはいかがでしょうか。

相続分配前に故人の預貯金から一時的に仮払いができる

相続法改正点5

故人の預貯金は相続財産であり、亡くなると口座は凍結されます(引き出し不可)。
改正は、相続人が複数人いる場合、相続財産の処分方法を決めるための遺産分割協議を行った後でないと引き出すことができませんでした。

改正は、”相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権を当該申立てをした者または相手方が行使する必要があると認めるとき”には、分割協議成立前でも一人の相続人による引き出しが可能になりました。難しい言葉が使われていますが、故人の借金の返済、相続人の当面の生活費や葬儀費用が必要な場合は、次の額まで引き出しが認められようになりました。
相続開始時の口座残高×法定相続割合×1/3 (1金融機関 最大150万円)

相続人が3人(妻、子2人)で故人の口座残高が600万円の場合:妻は、600万円×1/2(法定相続割合)×1/3=100万円まで引き出すことができます。
これ以上の額が必要な場合、家庭裁判所による仮処分が必要になります

相続人以外の親族による介護報酬請求

改正は、相続人以外の親族(長男の妻など)、長期に渡って故人(義父・義母)を介護していたとしても、その親族は相続人ではないとの理由で相続財産の分配を受けることはできませんでした。

改正は、介護に対して金銭的請求権が認められることになり、長年の介護が報われるようになりました。ただし注意すべき点があります。
あくまでも”請求”権ですので、相続人に請求しなければいけません。相続開始を知ったときから6ヶ月、相続開始から1年経過で、この請求権は消滅します。

また、請求には以下の条件があります。

故人の親族である(=6親等血族、3親等姻族)。
無償で故人の療養看護を行っていた。
無償で療養看護をしたことにより、故人の財産維持・増加に寄与した。

※介護を長年やってきた親族にとっては良い改正なんですが、介護を金銭に換算すること、そしてそれを相続人に認めてもらうことは、そう簡単ではないです。